Debian 13 trixie riscv64 公式サポートアーキテクチャ / Debian riscv64
ディストリビューション
本番利用可Debian 13 trixie riscv64(汎用、QEMU と各種ボードを含む)
- すでに動作するもの
- Debian 13 で riscv64 が初めて公式サポートアーキテクチャ(7 つの公式アーキテクチャのひとつ)になり、完全なアーカイブ、インストーラ、マルチアーキテクチャのコンテナイメージを備える。podman 5.4.2、postgresql-17、mariadb-server、nginx、ceph-mon/osd/radosgw はいずれも trixie/riscv64 の公式パッケージがある。
- 既知の制限
- 商用 LTS サポートはない(コミュニティの security チームのみ)。一部のソフトウェアは公式リポジトリにない。例えば trixie/riscv64 に kubernetes-client パッケージはない。個別のパッケージが riscv64 で欠けたり遅れたりする(パッケージ単位では未確認)。
Debian は riscv64 でソフトウェアの網羅性がもっとも高いコミュニティディストリビューションで、自前サービスに向く。足りないのは商用の裏付けと K8s のようなクラウドネイティブ一式。
Fedora RISC-V(Alternative Architecture)/ Fedora riscv64
ディストリビューション
制限付きで利用可Fedora 44 riscv64(HiFive Premier P550、VisionFive 2、QEMU など)
- すでに動作するもの
- Fedora 44 から riscv64 イメージを継続的に公開しており(2026-07 の更新でボード対応を追加)、独立した riscv-koji ビルドシステムと RISC-V SIG を持つ。比較的先鋭的な開発/検証プラットフォームとして使える。
- 既知の制限
- Fedora は RISC-V を Alternative Architecture(メインアーキテクチャではない)に位置づけ、「独自の koji を持ち、ビルド失敗がメインリポジトリを止めない」区分に入る。イメージとハードウェア有効化はコミュニティが維持し、リリースのペースはメインアーキテクチャと完全には同期しない。
Fedora は RISC-V の新ハードウェア・新機能の試験場で、最新を追う用途に向く。安定したサーバーのライフサイクルを求める用途には向かない。
Ubuntu 26.04 LTS / 24.04.5 LTS for RISC-V(Canonical 公式ビルド)
ディストリビューション
制限付きで利用可Ubuntu Server riscv64:SiFive BigSky、SpacemiT K3(CoM260/Pico-ITX)、HiFive Unmatched、VisionFive 2、Milk-V Mars など
- すでに動作するもの
- イメージは Canonical がビルドして配布し、Server の live installer とプリインストールイメージを提供する。26.04 LTS からは RVA23S64 が要件になり、SiFive BigSky と SpacemiT K3 プラットフォームに対応済み。24.04.5 LTS は引き続き RVA20 のボード(HiFive Unmatched、VisionFive 2、Milk-V Mars など)をカバーする。
- 既知の制限
- 26.04 以降、RVA20 のハードウェアは 24.04.5 LTS にとどまるためバージョンが分岐する。公式の説明では多くのボード向けイメージは headless のみ(GPU なし、WiFi なし)。サーバー向けの RVA23 ハードウェアは現在 BigSky/K3 など少数のプラットフォームしかない。
RISC-V サーバーに載せたいなら、Ubuntu は商用サポート契約を結べる数少ない選択肢。ただしボードが RVA23 かどうかを先に確認する必要があり、そうでなければ 24.04 止まりになる。
openEuler 24.03 LTS RISC-V ネイティブサーバーディストリビューション / openEuler 24.03 LTS RISC-V
ディストリビューション
制限付きで利用可openEuler 24.03 LTS SP2 riscv64(SG2042 / HiFive P550 / SpacemiT K3 など)
- すでに動作するもの
- 公式は 24.03 LTS で x86/Arm/RISC-V のカーネルが統一され、RISC-V のリリース範囲も x86/Arm と揃ったとしている。UEFI 標準に対応した初のコミュニティディストリビューション。sysCare のホットパッチ、上海交通大学の Penglai TEE を統合。OERV チームが QEMU 上の StratoVirt を検証。リポジトリには docker-engine、qemu 8.2、libvirt、mariadb 10.5、mysql 8.0.42、opengauss 6.0.0 などの riscv64 RPM が実際に用意されている。
- 既知の制限
- ハードウェア適応は各社カーネル/BSP と RISC-V Kernel Unification 計画に依存する。SG2380、JH8110 のベクトルとハードウェア仮想化対応はリリース時点でなお「対応予定」だった。コミュニティ版に商用 LTS の保証はなく、エンタープライズ向けサポートは商用ディストリビューションが必要。
国産ディストリビューションの中で RISC-V サーバー対応がもっとも充実した系統。パッケージが揃い LTS の基準線もあるが、その代わりにハードウェア適応は各社 BSP に従う。
openSUSE Tumbleweed riscv64 移植版 / openSUSE Tumbleweed RISC-V port
ディストリビューション
実験的openSUSE Tumbleweed riscv64(ports/riscv のイメージ、一部ボード+QEMU)
- すでに動作するもの
- openSUSE は riscv64 向けに Tumbleweed のイメージと OBS ビルドを提供しており(ports/riscv に appliances/iso イメージがある)、対応ボードと QEMU で動作する。
- 既知の制限
- 公式 wiki に「RISC-V support is still under development, you may run into bugs or unstable circumstances」と明記されている。有効化されていないハードウェアもあり、Factory にはビルド失敗のパッケージがある。公式はハードウェア提供とメンテナを募集している。
openSUSE の RISC-V は「動くが本番には使うな」という状態で、公式自身が人とハードウェアを探して穴を埋めようとしている。
Gentoo riscv64(ソースディストリビューション)/ Gentoo RISC-V
ディストリビューション
制限付きで利用可Gentoo stage3 rv64gc/rv32gc(glibc/musl、openrc/systemd)
- すでに動作するもの
- Gentoo RISC-V プロジェクトは first-class の対応と位置づけており、公式ダウンロードページで rv64gc/rv32gc、hard/soft-float、glibc/musl、openrc/systemd の stage3 一式を提供する。多数のパッケージが keyworded 済みで、qemu-riscv64 によるクロス検証もできる。
- 既知の制限
- 公式の表現は「a set of packages in the Gentoo repository is keyworded」で、使えるのは一部のパッケージに限られ、残りは自分で keyword を付けてビルドする必要がある。バイナリリポジトリも商用サポートもなく、サーバー向けソフトウェアスタックは 1 つずつ調整することになる。
Gentoo は深いカスタマイズと検証に向き、サーバーを短期間で納品したい人には向かない。どのパッケージも自分で keyword を確認する必要がある。
RHEL 10 RISC-V Developer Preview(Red Hat Enterprise Linux プレビュー)
ディストリビューション
実験的RHEL 10.2 riscv64 Developer Preview(SiFive HiFive Premier P550、SpacemiT K3(Pico-ITX/CoM260)、UltraRISC)
- すでに動作するもの
- Red Hat は RHEL 10.2 for RISC-V Developer Preview のイメージを公開した。パッケージのバージョンは他アーキテクチャの RHEL 10.2 と揃えており(Go 1.26、Rust 1.92)、SpacemiT と UltraRISC のハードウェア有効化を追加している。
- 既知の制限
- Red Hat は明言している。developer preview はテクニカルサポートを提供せず、GA までのアップグレード経路も保証せず(再インストールとデータ移行が必要になる場合がある)、将来サポートする義務もない。RISC-V ボードのオンボード GPU はすべて未有効化で、使えるのはシリアルか増設したグラフィックスカードのみ。
Red Hat は RISC-V に本気で賭けているが、現時点では「プレビュー」にすぎない。これで本番 SLA を結ぶことはできず、スムーズなアップグレードも期待できない。
Rocky Linux 10 RISC-V(AltArch)/ Rocky Linux riscv64
ディストリビューション
実験的Rocky Linux 10 riscv64gc(VisionFive 2、QEMU、HiFive P550)
- すでに動作するもの
- Rocky は RL10 が RISC-V を公式サポートすると発表し、riscv64gc のビルドを生成している。対象プラットフォームは VisionFive 2、QEMU、HiFive P550。コンパイラスタックは Fedora RISC-V からブートストラップし EL10 にバックポートした。
- 既知の制限
- P550 はベンダーカーネルに依存し、一部機能が制限される。Milk-V/Banana Pi は「まだ非対応」と明記されている。告知ページではイメージとインストールガイドが coming soon のままで、実際の成果物を待つ必要がある。
RHEL 系エコシステムの RISC-V 対応は始まったばかりで、Rocky 10 は信号であって納品可能なサーバー基準線ではない。
KVM on RISC-V(Linux メインライン)/ KVM RISC-V
仮想化
制限付きで利用可Linux メインライン arch/riscv/kvm(H 拡張を実装したハードウェアが必要。QEMU で代替検証可)
- すでに動作するもの
- Linux メインラインには完全な arch/riscv/kvm ディレクトリが含まれる。vCPU 管理、gstage/MMU、AIA(APLIC/IMSIC)、SBI v0.1/v2/HSM/PMU/STA、ベクトルコンテキスト(vcpu_vector.c)などがあり、H 拡張を実装したハードウェアまたは QEMU 上で KVM ゲストを動かせる。
- 既知の制限
- CPU が RISC-V Hypervisor 拡張を実装していることが前提。販売中の一部ボード(HiFive Premier P550 など)はカーネル設計が H 拡張の ratified より前で、そのままでは有効化できない(Vates も Xen 移植で同じ問題を記録している)。メインラインに KVM/RISC-V の独立した管理者向けドキュメントはなく、デバイスパススルーとネストの対応は限定的。
KVM は RISC-V でもメインラインの機能になっているが、マシンを買う前に CPU が H 拡張を持つか必ず確認すること。なければ仮想化は成り立たない。
Xen on RISC-V(Type-1 ハイパーバイザ移植)/ Xen RISC-V
仮想化
実験的Xen 上流の RISC-V ポート(dom0less 優先)+下流のマルチ vCPU 対応。SpacemiT K3(RVA23)、HiFive P550、QEMU
- すでに動作するもの
- 2026-09 に Xen が SpacemiT K3(RVA23 に適合した初のボード)で起動したと発表され、HiFive P550 の実機でもゲストが起動した。上流の路線は dom0less 優先で、下流ではマルチ vCPU ゲストが動く(QEMU、P550、K3)。
- 既知の制限
- 2024 年の公式ブログの時点で、上流の Xen RISC-V は「not yet fully operational for widespread practical use」とされている。dom0 対応はなお下流にあり、割り込み/AIA 対応は部分的。検証できるボードはごく少なく、ディストリビューション統合もなく、本番にはほど遠い。
Xen は RISC-V で 2 枚のボードを「点灯」させたばかりで、先端を追う話。本番アーキテクチャの選定には入れないこと。
Docker Engine on riscv64(ディストリビューションのパッケージ)/ Docker riscv64
コンテナ/クラウドネイティブ
制限付きで利用可Debian trixie docker.io / openEuler docker-engine 18.09 + Docker Hub の riscv64 イメージ
- すでに動作するもの
- Debian trixie は docker.io の riscv64 パッケージを提供し、openEuler 24.03 SP2 は docker-engine 18.09 の riscv64 RPM を提供する。Docker Hub の公式 debian イメージには riscv64 レイヤーが含まれ、ベースイメージをそのまま pull/run できる。
- 既知の制限
- Docker 公式の静的バイナリは aarch64/armel/armhf/ppc64le/s390x/x86_64 のみで riscv64 はない。公式インストールドキュメントの対応プラットフォーム一覧にも riscv64 はない。openEuler のパッケージ版は 18.09 のみで古い。
コンテナは RISC-V でも動くが、エンジンは Docker 公式ではなくディストリビューション由来なので、バージョンと機能は一段遅れる。
Podman on riscv64(デーモンレスコンテナ)/ Podman riscv64
コンテナ/クラウドネイティブ
制限付きで利用可Debian trixie podman 5.4.2 / openEuler podman 4.9.4、riscv64
- すでに動作するもの
- Debian trixie と openEuler 24.03 SP2 はいずれも riscv64 の podman パッケージ(5.4.2 / 4.9.4)を提供し、rootless コンテナランタイムとして Docker の代わりに使える。
- 既知の制限
- Podman 公式の riscv64 静的ビルドや podman-machine(仮想マシン)対応はない。Podman Desktop は riscv64 非対応。機能はディストリビューションのパッケージ版に完全に依存する。
デーモンレスで rootless のコンテナを使いたいなら、riscv64 では Podman のほうが Docker より素直に動く。ただしディストリビューションの供給に頼る点は変わらない。
Kubernetes on riscv64(openEuler EPOL パッケージ)/ Kubernetes riscv64
コンテナ/クラウドネイティブ
制限付きで利用可openEuler 24.03 LTS SP2 EPOL riscv64 + Kubernetes 1.29.1 + KubeKey 3.0.7 + KubeEdge 1.8.0
- すでに動作するもの
- openEuler の EPOL riscv64 リポジトリは kubernetes 1.29.1(kubeadm/kubelet/master/node/client)、kubekey 3.0.7、kubeedge 1.8.0、containerd 1.6.22、etcd 3.4.14、k3s-containerd を提供し、これで単一クラスタやエッジクラスタを組める。
- 既知の制限
- Kubernetes 上流の dl.k8s.io は linux/riscv64 のバイナリを公開していない(2026-11 実測:https://dl.k8s.io/release/v1.37.2/bin/linux/riscv64/kubelet は 404、同バージョンの arm64 は 200)。ディストリビューションのパッケージは 1.29 で止まっている(上流は 1.37)。CNI/CSI/Ingress などのプラグインは riscv64 イメージを個別に検証する必要がある。
riscv64 の K8s はディストリビューションのパッケージ(openEuler 1.29)しか道がなく、上流はバイナリを出していない。バージョンが遅れるのは構造上の制約。
containerd riscv64 公式ビルド / containerd riscv64
コンテナ/クラウドネイティブ
制限付きで利用可containerd 2.4.2 linux/riscv64(公式リリース tarball)
- すでに動作するもの
- containerd の公式リリースは containerd-2.4.2-linux-riscv64.tar.gz と containerd-static-2.4.2-linux-riscv64.tar.gz を直接提供しており、riscv64 ノードのコンテナランタイムとして使える。
- 既知の制限
- コンテナランタイム本体のみ。Kubernetes のコントロールプレーンは依然ディストリビューションのビルドが必要。CNI/CRI プラグインとイメージのエコシステムは自分で検証する必要がある。商用サポートはない。
containerd は riscv64 向け成果物を公式に直接出している数少ないクラウドネイティブ基盤部品で、自作 K8s のランタイム基盤に向く。
OpenHPC 4.x の riscv64 不在 / OpenHPC riscv64 gap
HPC
実験的OpenHPC 4.0(EL10、openEuler 24.03)— x86_64/aarch64 のみ
- すでに動作するもの
- OpenHPC 4.0 は EL10 と openEuler 24.03 の対応を追加し、HPC 向けパッケージ一式(SLURM、Warewulf、MPI、科学技術ライブラリ)を提供する。ただしこれらのリポジトリにある ohpc-release は x86_64 と aarch64 のみ。
- 既知の制限
- 公式 downloads ページのすべてのディストリビューションの組み合わせが aarch64/x86_64 で、riscv64 のリポジトリも RPM もない。RISC-V クラスタでは Spack やソースから SLURM、MPI、科学技術ライブラリを手作業で組むしかない。
「すぐ使える HPC スタック」としての OpenHPC は riscv64 にはまだ存在せず、RISC-V クラスタは自前で積む必要がある。
Monte Cimone v2 RISC-V HPC クラスタ / Monte Cimone v2
HPC
実験的SG2042(Milk-V Pioneer)+ SiFive U740 ノード。Fedora 38 + GCC 13 + Spack + SLURM + ExaMon
- すでに動作するもの
- マルチノードの RISC-V クラスタで HPL/STREAM が実際に動作した。1 ソケット 64 スレッドでメモリ帯域 41.9 GB/s、2 ソケットで 82.9 GB/s。C920 のベクトルユニット向けに BLIS マイクロカーネルを最適化すると HPL が明確に向上した。ソフトウェアスタックは Spack で管理し、SLURM でスケジューリング、ExaMon で監視する。
- 既知の制限
- 位置づけは HPC の検証プラットフォームであり本番クラスタではない。論文の HPL/STREAM の結果は絶対性能がなお検証機の水準で、x86 の HPC ノードとの差は明らか。ツールチェーン(GCC 13 +ベンダーのベクトルツールチェーン)は自前で構築・調整が必要で、エコシステムの各要素を個別に適合させる必要がある。
現時点で最も揃った RISC-V HPC の公開事例。実負荷は動くが、性能も運用の成熟度もまだ「検証プラットフォーム」の段階。
RVV 科学技術計算スタック(OpenBLAS/BLIS + MPI ライブラリ)/ RVV scientific computing stack
HPC
制限付きで利用可OpenBLAS riscv64 カーネル(C910V/U74/x280、ZVL128B/256B)+ openEuler netcdf-openmpi/mpich
- すでに動作するもの
- OpenBLAS のリポジトリには 229 個の riscv64 カーネルファイルがあり、C910V、U74、x280 および ZVL128B/ZVL256B の RVV 変種をカバーする。openEuler は netcdf-openmpi/netcdf-mpich など並列科学技術ライブラリの riscv64 パッケージを提供する。Monte Cimone は BLIS の RVV マイクロカーネル最適化の道筋を検証済み。
- 既知の制限
- 性能は -march とベクトル長に大きく依存し(RVV 0.7.1 と 1.0 の差が大きい)、コアごとに調整が必要。すべての数学ライブラリ/HPC アプリに RVV カーネルがあるわけではない。ベンダー水準のチューニングと長期保守は不足している。
科学技術計算は動くが、コアごとのベクトル長に合わせて再ビルドと調整をする前提。そのまま使えるバイナリ性能ではない。
SG2042 64 コア RISC-V サーバーの HPC 性能限界 / SG2042 HPC evaluation
HPC
制限付きで利用可Sophgo SG2042(64×C920、RVV 0.7.1)
- すでに動作するもの
- 64 コアの SG2042 で RAJAPerf などの HPC ベンチマークを実行できる。論文の実測ではシングルコア性能が当時もっとも普及していた RISC-V ハードウェアの約 5〜10 倍で、一部のカーネルは比較対象の x86 より速い。
- 既知の制限
- マルチスレッドの総合性能は比較対象の x86 HPC CPU になお約 4〜8 倍劣る。メモリ帯域とベクトル幅の制約から、主力の演算ノードには向かない。
SG2042 は RISC-V が「機房に入れる」出発点だが、性能面ではエッジ/教育/検証向けで、x86 の演算力を置き換えるものではない。
PostgreSQL on riscv64(公式に動作可能と明記)/ PostgreSQL riscv64
データベース/ミドルウェア
本番利用可PostgreSQL 18 ソース / Debian trixie postgresql-17 / openEuler postgresql-15
- すでに動作するもの
- PostgreSQL 公式の supported-platforms ドキュメントは RISC-V を「動作が期待できる」CPU アーキテクチャに明記している(x86、ARM、PowerPC と並列)。Debian trixie は postgresql-17 の riscv64 パッケージを、openEuler は postgresql-15 の riscv64 を提供する。
- 既知の制限
- 公式サポートはソースがコンパイルでき build farm を通ることを基準にしており、商用認証とは異なる。ディストリビューションのバージョンは上流の最新マイナーより遅れる。性能調整には RVV 向けのコンパイルオプションが必要。
PostgreSQL は RISC-V でもっとも安定したデータベースの選択肢。上流が対応アーキテクチャとして明記し、ディストリビューションにも既成パッケージがある。
MySQL 8.0 on riscv64(ディストリビューションのビルド)/ MySQL riscv64
データベース/ミドルウェア
制限付きで利用可openEuler 24.03 SP2 mysql-8.0.42 riscv64 RPM
- すでに動作するもの
- openEuler 24.03 LTS SP2 の riscv64 リポジトリは mysql 8.0.42 の完全な RPM(server/client/common/config)を提供し、通常の OLTP を運用できる。
- 既知の制限
- Oracle 公式は riscv64 のバイナリもサポートも提供していない。公式 Docker イメージの mysql は amd64/arm64 のみ。openEuler のリポジトリにも 8.0 系しかなく(8.4/9.x の riscv64 パッケージはない)、公式認証もパッチ提供の約束もない。
MySQL は動くがディストリビューションのパッケージ頼みで、Oracle は RISC-V を相手にしていない。基幹業務ではこのサポート経路のリスクを考える必要がある。
openGauss on RISC-V(SIG による専項適配)/ openGauss riscv64
データベース/ミドルウェア
制限付きで利用可openGauss 6.0.0-lite / 7.0.0-RC1(openEuler RISC-V、Fedora)。RVV によるベクトル加速
- すでに動作するもの
- openGauss RISC-V SIG は 2024-06 に発足し、5.1.0-lite、6.0.0-lite の適配を順に完了して openEuler のリポジトリに取り込んだ。2025-06 には 7.0.0-RC1 フル版の適配を完了し、MOT と datavec の RVV ベクトル加速に対応、コンテナイメージも提供する。openEuler のリポジトリには opengauss-6.0.0 の riscv64 RPM がある。
- 既知の制限
- フル版は 7.0.0-RC1(正式な LTS ではない)まで。軽量版は機能のサブセット。SIG のポスターでは Debian/Ubuntu への適配を今後の作業としており、未完了。バックアップ/監視/移行などのエコシステムツールが riscv64 で検証済みかは未確認。
国産データベースの中で openGauss の RISC-V 適配がもっとも真剣(SIG があり RVV 加速もある)だが、本番版としての正式化はまだ途上。
OceanBase コミュニティ版(riscv64 は公式非対応)/ OceanBase riscv64
データベース/ミドルウェア
実験的OceanBase コミュニティ版(公式は x86_64/ARM のみ)
- すでに動作するもの
- 公式ドキュメントにもコミュニティの Q&A にも RISC-V 対応の記載はない。現行の導入方案は x86 と ARM が前提。
- 既知の制限
- 公式ドキュメントおよびコミュニティ Q&A(公式ドキュメントベースの検索回答)のいずれにも RISC-V の記載はない。公式の riscv64 バイナリや移植計画の説明も見当たらない(内部移植の有無は未確認)。自力で移植する場合はコンパイラ、依存ライブラリ(OpenSSL/Boost など)、性能調整への対応が必要。
OceanBase は現時点で RISC-V の選択肢ではない。選ぶことは riscv64 サーバーを諦めることになる。
nginx on riscv64(ディストリビューションのパッケージ+リバースプロキシ)/ nginx riscv64
ストレージ/ゲートウェイ
制限付きで利用可Debian trixie nginx riscv64。nginx.org の公式リポジトリは x86_64/aarch64 のみ
- すでに動作するもの
- Debian trixie は riscv64 の nginx パッケージを提供し、Web サーバー/リバースプロキシ/ゲートウェイとして使える。openEuler 24.03 SP2 も nginx 1.24.0 の riscv64 RPM と主要モジュールを提供する。
- 既知の制限
- nginx.org の公式 Linux リポジトリ(Debian 12/13、Ubuntu 22.04〜26.04、EL8〜10、SUSE、Alpine)は x86_64 と aarch64/arm64 のみで、riscv64 の公式バイナリはない。NGINX の商用サポートも riscv64 をカバーしない。新しい版はディストリビューションの追随を待つ必要がある。
nginx をゲートウェイに使うのは問題ないが、使えるのはディストリビューションのパッケージだけ。公式の最新版や商用サポートを求めるなら riscv64 はない。
Ceph on riscv64(Debian パッケージの分散ストレージ)/ Ceph riscv64
ストレージ/ゲートウェイ
制限付きで利用可Debian trixie ceph-mon / ceph-osd / radosgw (riscv64)
- すでに動作するもの
- Debian trixie riscv64 は ceph、ceph-base、ceph-mon、ceph-osd、radosgw のパッケージを提供し、ブロック/オブジェクトストレージを提供する Ceph クラスタを組める。
- 既知の制限
- ディストリビューションのパッケージのみで商用サポートはない。RISC-V で大規模な Ceph クラスタを組んだ安定性・性能の公開事例はない(未確認)。コア数の少ない RISC-V サーバーで MON/OSD が消費するリソースは自分で評価する必要がある(未実測)。
Ceph は導入も稼働もできるが、規模を上げた検証データがない。小規模/エッジのストレージなら試せるが、基幹ストレージでは冒険しないこと。
llama.cpp / llama-server on riscv64(RVV によるローカル推論)/ llama.cpp riscv64
AI 推論サービス
制限付きで利用可llama.cpp をソースからビルド(GGML RVV バックエンド)、SpacemiT K1/K3、SG2042 など
- すでに動作するもの
- ggml は RISC-V 専用のビルドスイッチ(GGML_RV_ZFH/ZVFH/ZICBOP/ZIHINTPAUSE/ZVFBFWMA)と RVV カーネルを提供する。llama-server は OpenAI 互換 API を提供する。実測では SpacemiT K1(8 コア 1.6GHz)で TinyLlama 1.1B が生成約 8.7 tok/s、プリフィル 12.5 tok/s で、単機のローカル推論サービスとして使える。
- 既知の制限
- 公式リリースに riscv64 のプリビルドはなく(arm64/x64/s390x など)、ソースからのビルドが必須。-march(zvfh を含む)を正しく設定しないと RVV ビルドは失敗する。実測は単一ユーザーで約 8.7 tok/s、同時実行のサービス能力は未検証。1.1B 超のモデルを 1.6GHz 級のボードで使ったときの操作感は自分で実測する必要がある。
RISC-V で LLM 推論を実際に動かせる唯一の道は llama.cpp のソースビルド。小さいモデルなら 1 人には応えられるが、同時実行は期待しないこと。
vLLM(riscv64 は公式バックエンドなし)/ vLLM riscv64
AI 推論サービス
実験的vLLM CPU バックエンド(公式対応は x86 / ARM AArch64 / Apple / IBM Z)
- すでに動作するもの
- vLLM 公式の CPU インストールドキュメントは x86、ARM AArch64、Apple Silicon、IBM Z の 4 種類のプラットフォームを挙げ、それぞれの wheel とビルド方法を示している。riscv64 は含まれていない。
- 既知の制限
- riscv64 の wheel も公式ビルドスクリプトも CI もない。公式ドキュメントに riscv64 のインストール手順はない。PagedAttention などの CUDA/CPU 演算子は自力で移植する必要がある(公開された完全な移植は見当たらず、未確認)。
vLLM は現在 riscv64 に対応していない。RISC-V で高スループットの推論サービスをやる既成の手段はまだない。
Ollama(riscv64 は公式ビルドなし)/ Ollama riscv64
AI 推論サービス
実験的Ollama 公式リリース(linux-amd64 / linux-arm64 など)
- すでに動作するもの
- Ollama 公式リリースは amd64、arm64(JetPack/ROCm/MLX 変種を含む)と macOS/Windows のパッケージを提供する。
- 既知の制限
- riscv64 のバイナリはない。自力のビルドは可能だが、推論バックエンドは ggml/llama.cpp の RISC-V 対応に依存するため、結局 llama.cpp に戻る。
Ollama の手軽さは RISC-V には存在しない。llama.cpp を直接使うほうが現実的。
Scaleway Elastic Metal RV1(商用 RISC-V クラウドベアメタル)/ Scaleway EM-RV1
実導入事例
制限付きで利用可4×T-Head C910 RV64GC @1.85GHz、16GB LPDDR4、128GB eMMC、100Mb/s、パリのデータセンター
- すでに動作するもの
- 公式には世界初の商用 RISC-V クラウドサーバーとされる。EM-RV1-C4M16S128-A は時間 0.042€/月額 15.99€(税別)で課金され、即時に開通できる。NPU を備え、CI/CD、移植検証、軽量サービスに向く。
- 既知の制限
- 仕様の上限が低い。4 コア/16GB/128GB eMMC/100Mb のネットワークで、データベースや高スループットのサービスには向かない。C910 は GhostWrite 脆弱性の影響を受け、2024-06-06 より前に開通したインスタンスはカーネルの更新が必要。リージョンはパリのみ。
RISC-V サーバーをほぼ無コストで試したいなら、Scaleway は月 16 ユーロで 1 台借りられる。ただし「使える検証機」であって本番の演算力ではない。
山東大学「東山一号」RISC-V サーバークラスタ / Dongshan-1 RISC-V cluster
実導入事例
制限付きで利用可RISC-V サーバーノード+TPU 加速+ストレージノード。ラック全体で計算 6+ストレージ 2
- すでに動作するもの
- 2024-04 に配備し、世界初の RISC-V アーキテクチャのサーバークラスタ「東山一号」として発表した。2024-08 には PLUS を発表し、標準ラック 1 本に計算 6+ストレージ 2 ノード、演算性能 476.8 TFLOPS(TPU 拡張を含む)、ストレージ 126TB で 50 以上の AI モデルを動かせる。2026-08 には第三者の科学技術成果評価を受け、累計 200 以上のオープンソースソフトウェアの移行検証(ディストリビューション、GCC/LLVM、データベース、Web、コンテナ、AI フレームワーク、HPC)を完了した。
- 既知の制限
- 大学の研究/検証プラットフォームであり商用クラウドではない。476.8 TFLOPS は TPU アクセラレータカードに依存し、CPU のみの演算力は限られる。具体的なノード型番と規模は完全には公開されていない。
国内で最も揃った RISC-V サーバーのフルスタック検証環境で、「動く」ことを示した。ただし研究クラスタであり、借りられる商用サービスではない。
中国移動 5G RISC-V サーバー実証 / China Mobile RISC-V pilot
実導入事例
実験的5G データセンター向けの RISC-V サーバーチップとシステム(カスタム命令拡張)
- すでに動作するもの
- 中国移動研究院は 5G データセンターを突破口に、業務要件を抽出して命令拡張でカーネルを最適化し、RISC-V サーバーチップとシステムを開発、標準/技術/製品/エコシステムの連携を進めている。
- 既知の制限
- 公式の講演で「高性能 RISC-V プロセッサが大演算市場で突破口を得るにはなお多くの課題がある」と明言しており、探索と実証の段階で規模商用には至っていない。公開された性能/安定性のデータはない。
通信事業者はすでに試しているが、特定の 5G シナリオでの実証にとどまり、汎用のクラウドサーバーにはまだ距離がある。
SiFive BigSky SF-2U870 データセンター RISC-V サーバー / SiFive BigSky
実導入事例
制限付きで利用可32×SiFive P870-D @2.0GHz、2U ラック、RVA23。Ubuntu 26.04 LTS / RHEL 10
- すでに動作するもの
- 2026-08 に発表された 2U ラックマウントの RISC-V サーバー(32 コア P870-D @2.0GHz)で、RVA23 に完全準拠し、Ubuntu 26.04 LTS と RHEL10 をネイティブにサポートするため独自の移植が不要。会場では各種サーバー負荷のデモが行われ、その上で CUDA も動作し、NVIDIA GPU の LLM 負荷向けヘッドノードとして使える。公式はハイパースケール顧客がすでにシステム上でワークロードを動かしているとしている。
- 既知の制限
- 限量生産で戦略パートナー顧客が優先。価格と納期は未公開。エコシステムはなおソフトウェアの移植/調整の段階。GPU は PCIe カードの外挿しに依存し、オンボードではない。
「サーバーらしい」RISC-V マシンの最初の 1 台(2U、RVA23、Ubuntu/RHEL ネイティブ)。ただし量産品は買えず、戦略顧客向けの検証プラットフォームという位置づけ。